梅雨雲つゆぐも)” の例文
……長いこと、鬱陶うっとうしくおおいかぶさっていたこの梅雨雲つゆぐもが今日こそは晴れるのではないかと思ってな。……待っているのだ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
梅のがしきりに落ちるのであった。また梅雨雲つゆぐもがすこしれたか、障子の腰へつよい陽ざしが不意にした。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五月十五日、生憎あいにくと、こよいは月がよくえている。つねならばもう梅雨雲つゆぐも五月闇さつきやみといわれる頃を。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昼夜兼行の労働につかれはてて、もう昼中はのろのろとしか、うごかない数千の人夫を見ると、官兵衛の胸は、この頃の梅雨雲つゆぐものようにいらいらせずにいられなかった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)