桀紂けっちゅう)” の例文
昔シラキュース王ディオニシウス(Dionysius)は、桀紂けっちゅうにも比すべき暴君であったが、彼は盛んに峻法を設けて人民を苦しめた。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
桀紂けっちゅうでも、ネロでも、昔から暴君に馬鹿はなく、その非を遂げ、いさめを退けるところに、暴君の暴君たる特質があるのです。
桀紂けっちゅうにも等しき御所行があると云うことは、外に注進する者があって、某たしかに聞いているのに、そちはそんなことさえも知らせて来ないぞと云うお言葉。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「いつでもいいさ。桀紂けっちゅうと云えば古来から悪人としてとおものだが、二十世紀はこの桀紂で充満しているんだぜ、しかも文明の皮を厚くかぶってるから小憎こにくらしい」
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
第一に煙毒というて、かの阿片アヘンの中毒だ。これはなかなかひどい。第二には経毒というて、即ち経書の毒、いわゆる口に孔孟こうもうを説いて身に桀紂けっちゅうを行うというのだ。
けだし暴君汚吏の余殃かくの如くなれば、仁君名臣の余徳もまた、かくの如し。桀紂けっちゅうを滅して湯武の時に人民安しといえども、湯武の後一、二世を経過すれば、人民は国祖の余徳を蒙らず。
政事と教育と分離すべし (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
易牙えきがが彼の子供を蒸して桀紂けっちゅうに食わせたのはずっと昔のことで誰だってよくわからぬが、盤古が天地を開闢かいびゃくしてから、ずっと易牙の時代まで子供を食い続け、易牙の子からずっと徐錫林じょしゃくりんまで
狂人日記 (新字新仮名) / 魯迅(著)
十年もまた死し、百年もまた死し、仁聖また死し、凶愚もまた死す。生すればすなわち尭舜ぎょうしゅん、死すればすなわち腐骨、生すればすなわち桀紂けっちゅう、死すればすなわち腐骨。腐骨は一つのみ、いずれかその異なるを
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)