柴刈しばか)” の例文
谷川の末にはおばあさんが一人、日本中にほんじゅうの子供の知っている通り、柴刈しばかりに行ったおじいさんの着物か何かを洗っていたのである。……
桃太郎 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
人のけはいがするのでふと見ると、今までちっとも気がつかなかったが、茂みの陰に柴刈しばかりの女が一人休んでいた。
花物語 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
山家は柴刈しばかりだ田植えだと聞く新緑のころで、たださえ季節に敏感な伊之助にはしきりに友恋しかった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
毎朝仏様におつとめがすむと、お天気さへよければ、豆小僧は上の山へ柴刈しばかりに行くのでした。
豆小僧の冒険 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
その犬語るやう、此処を去ること南の方一里ばかりに、木賊とくさが原といふ処ありて、其処に朱目あかめおきなとて、とうとき兎住めり。この翁若き時は、彼の柴刈しばかりのじじがために、仇敵かたきたぬきを海に沈めしことありしが。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)