板挾いたばさ)” の例文
新字:板挟
この苦労した人は、夫婦の間に板挾いたばさみに成ったという風で、物静かな調子で話した。主人思いの様子は、奉公する人とも見えなかった。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
板挾いたばさみの七十幾日を独りで苦しんだ、……縁談の定ったとき死ねばよかった、けれども死ねなかったと云う、愛する者にみれんが残った、どんなみれんだと思う榎本
山椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
だが彼奴等は自分たちの利害のこの両方の板挾いたばさみにあって、黒い着物を頭から引ッかぶって見張りをしなければならないような馬鹿げた恥知らずの真似まねに出でざるを得ないのである。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)