松坂木綿まつざかもめん)” の例文
松坂木綿まつざかもめんの、唯のお仕着せ、やゝ小柄で元服したばかりの、青々とした額、いかにもさわやかな感じのする青年です。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
松坂木綿まつざかもめんのよれよれになったやつへ煮しめたような豆しぼりというやくざな風体なりをしているのだから、女が面くらったのもあたりまえで、立て膝のまま
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ひょろ松と顎十郎が、踏みこんで行くと、伏鐘重三郎は、松坂木綿まつざかもめんの着物に屑糸織くずいとおり角帯かくおびという、ひどく実直な身なりで長火鉢に鯨鍋をかけ、妾のお沢と一杯っていた。
ちょうど此家ここの裏口、垂を上げると、中から出たのは、先刻の松坂木綿まつざかもめんらしい粗末な綿入れを着た娘とは似も付かぬ、縮緬ちりめん白無垢しろむくを着て、帯まで白いのを締めた、鷺娘さぎむすめのような
お仕着せの松坂木綿まつざかもめんあはせ、紺の前掛が油染みて、伸び切つた手足のヌツと出るのも淺ましい姿ですが、その代り八五郎に頼まれれば、板敷の縁側に默つて一刻も坐つて居ようと言つた人柄です。