松坂屋まつざかや)” の例文
またことしの初夏には松坂屋まつざかやの展覧会で昔の手織りじまのコレクションを見て同じようななつかしさを感じた。
糸車 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
これよりさき日野屋では五百に壻を取ろうという議があって、貞白はこれをあずかり知っていた。壻に擬せられていたのは、上野広小路の呉服店伊藤松坂屋まつざかや通番頭かよいばんとうで、年は三十二、三であった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
とあれば、かくのごとく、お出入でいり松坂屋まつざかやへあつらへる。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いつか上野うえの松坂屋まつざかやの七階の食堂の北側の窓のそばに席を占めて山下やましたの公園前停留場をながめていた。窓に張った投身者よけの金網のたった一つの六角の目の中にこの安全地帯が完全に収まっていた。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
上野松坂屋まつざかや七階食堂の食卓に空席を捜しあてて腰を下ろした。
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)