机辺きへん)” の例文
しかし半兵衛はそれが目的で来たらしく、さっさと立って部屋の一隅へゆき、そこの机辺きへんに置いてある筆記類を、自分で取って見ようとした。
艶書 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
しかし時親は、やはり表が気になるとみえ、机辺きへんの書物やら山絵図のごとき物を、ひとりごそごそと、かたづけていた。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこへ静かに座をしめて見ると平生乱雑の上にも乱雑を重ねて居た机辺きへんが清潔になつて居るで、何となく心持が善い。心持が善くて浮き浮きすると思ふと何だか俳句がのこのこと浮んで来る。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
後から聞いたところによると、妙子さんはその前の日に清之介君の机辺きへんを片付ける時、書棚からみだしていた当用日記に注意を惹かされた。ひとの日記を読むものでないことは何人でも承知している。
女婿 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と猪股先生は机辺きへんの棚から書類の綴りを取り出して、はぐりながら
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)