曲馬きょくば)” の例文
だから明日の晩田中君と、世間の恋人同士のように、つれ立って夜の曲馬きょくばを見に行く事を考えると、今更のように心臓の鼓動こどうが高くなって来る。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
(“The Circus of Death”)———死の曲馬きょくばとか何とか云う、伊太利イタリーの冒険写真であるが、しかし此の方は可なり面白く見て居られた。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ちょうどそのころ、サーカスの中では、まんなかの丸い土間どまに、はなやかな曲馬きょくばがおこなわれていました。
サーカスの怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
曲馬きょくばの馬にれるような物語の世界にばかりみ得る娘であった。このうそを現在の自分として今夜の街に生きる不思議をおもうと彼女はうれしくてたまらなくなった。
売春婦リゼット (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「ぼ、ぼ、ぼくね。」と新吉はどもってから「ぼく曲馬きょくばの仲間に入りたいんだよ。」
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)