晩稻おくて)” の例文
新字:晩稲
その頃お京は十七、よく脂が乘つて、もう娘になりきつて居たのに、お萩の方は年弱の晩稻おくてで、まだお手玉の方が嬉しい小娘だつたのです。
根岸田甫に晩稻おくてかりほす頃、あのあたりに森江しづと呼ぶ女あるじの家を、うさんらしき乞食小僧の目にかけつゝ、怪しげなる素振あるよし、婢女ども氣味わるがりて咡き合ひしが
琴の音 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
裏の欅山けやきやまもすつかり黄葉して秋もいよ/\更けましたが、ものの哀れは一入ひとしほ吾が家にのみあつまつてゐるやうに感じられます。早稻わせはとつくに刈られて今頃は晩稻おくての收穫時で田圃たんぼは賑つてゐます。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)