春木町はるきちょう)” の例文
眉山の家は本郷ほんごう春木町はるきちょうの下宿屋であった。学校から帰ると、素裸すっぱだかになって井戸の水を汲込くみこみつつ大きな声で女中を揶揄からかっていた。
後にその頃の長屋門が取り払われたので、今春木町はるきちょうからき当るところにある、あの新しい黒い門が出来たのである。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
庭のそとはすぐ春木町はるきちょうの通りになっているが、高い板塀には黒鉄の厳重な忍返しがついているし、昼間は相当人通りのはげしい通りだから、怪しまれずに板塀を乗り越えることなどは出来ない。
顎十郎捕物帳:02 稲荷の使 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
その当時藤村は本郷の新花町にいた。春木町はるきちょうの裏通りを、湯島ゆしま切通しの筋へ出る二、三ちょう手前で、その突き当りが俗にいうからたち寺である。藤村は親戚の人と同居して、そこの二階で起臥きがしていた。
当時本郷ほんごう春木町はるきちょうにいる木具屋岩吉きぐやいわきちの娘がありました。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)