春夜しゅんや)” の例文
しんしんとして、木蓮もくれん幾朶いくだ雲華うんげ空裏くうりささげている。泬寥けつりょうたる春夜しゅんや真中まなかに、和尚ははたとたなごころつ。声は風中ふうちゅうに死して一羽の鳩も下りぬ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
春夜しゅんやかな、と俳句に諷はれてゐるような、朧おぼろの市井の景色は、一年中で最も私の溺愛するところの季節である。
寄席風流 (新字旧仮名) / 正岡容(著)