かう)” の例文
「それがかうじて、誰も留め手のないところで、自分の美しい裸體を、存分に見てもらひたかつたのだらう。——わけても庵崎數馬に見せたかつた」
その飛沫とばちりが秋子に向けられる。秋子はオド/\して、鷹雄の時偶ときたま話しかける言葉にも返事がしつくりと行かぬやうになる。するとヂリ/\と不機嫌が更にかうじるのだ。
愚かな父 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
それは死にまでかうじたヒステリーの、凄まじくも痛ましい姿でせう。二人は顏を反けて逃げ出す外はなかつたのです。
先代の玄策先生が亡くなつてからは、血の道がかうじて少し氣が變になり、女房の役が勤まらないからと自分から身を退いて、母親のお市さん、弟の孝吉と三人
人樣に馬鹿にされる口惜くやしさがかうじて、一生のうちには、石にかじり付いても檢校の位に上り、今まで片輪者を馬鹿にした人達を、眼下に見てやらうと思ひ立つたのです