新之丞しんのじょう)” の例文
「わたくしは一番いちばん半兵衛はんべえ後家ごけ、しのと申すものでございます。実はわたくしのせがれ新之丞しんのじょうと申すものが大病なのでございますが……」
おしの (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
血のりをあらいさってしまえ!……おっつけせがれ新之丞しんのじょうももどりくるはず、新之丞のかえらぬうちに、さ、さ、早く早く、しまつをつけねばならぬ
亡霊怪猫屋敷 (新字新仮名) / 橘外男(著)
新之丞しんのじょうも首取りの半兵衛と云われた夫の倅でございます。臆病ものの薬を飲まされるよりは腹を切ると云うでございましょう。
おしの (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
いまでは二十歳になる新之丞しんのじょうという息子とたった二人っきり……その新之丞は御殿の出仕からまだもどらず、長押なげしに槍や薙刀なぎなたをかざった居間に、左近将監はたったひとりっきりで
亡霊怪猫屋敷 (新字新仮名) / 橘外男(著)