“断目”の読み方と例文
読み方割合
きれめ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
直ぐ足下から拡がる大傾斜の彼方、鉛色の海をかすめて西へ逃げる雲脚の速さ。雲の断目きれめから時折、暁近い鈍い白さが、海と野の上に流れる。天地は未だ色彩をたぬ。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
『時に、』と、東川は話の断目きれめを待構へてゐた様に、椅子を健の卓に向けた。『千早先生。』
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
厚く重なり合った雲の断目きれめから、飴色の弱い日が洩れた。あぜの並木の片側が薄く照り映えた。田の中には氷が張って、処々に雪が消えずに残っている。街道を行くと、旅人の影がちらちら見られた。
越後の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)