料峭りょうしょう)” の例文
包装の仕事をやめてうろうろしているせんに、よし! あんねに手伝えやと声をかけてから、料峭りょうしょうと冴えた星明りの外へ出た。
和紙 (新字新仮名) / 東野辺薫(著)
料峭りょうしょうの候である。余寒がきびしい。榛名山の西の腰から流れ出す烏川の冷たい流れを渡り、板鼻町へ入ったとき、さつま芋を五銭ほど買って、三人で分けて食べた。
酒徒漂泊 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
はるかなる頭の上に見上げる空は、枝のためにさえぎられて、手のひらほどの奥に料峭りょうしょうたる星の影がきらりと光を放った時、余は車を降りながら、元来どこへ寝るのだろうと考えた。
京に着ける夕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)