摸索まさぐ)” の例文
ああ、あの確証を得たいばかりに、毎夜私は、どんなにか空々しく、あの男の身長を摸索まさぐっていたことでしょう
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
しかし、その光が、妖怪めいたはためきをしながら、しきりと床上を摸索まさぐっている間でも、法水の眼だけはその上方にみひらかれていて、鋭く壇上の空間に注がれていた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
どうにもそのはっきりしたものをつかみ上げることができず、ただいたずらに宙を摸索まさぐって、それから烏とか、山猫とか屍虫しでむしとかいうような、生物いきものの名を並べはじめたのです。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
はたせるかな、この予測は的中した。最初から死体を見ぬにもかかわらず、はや法水は、この館の雰囲気を摸索まさぐってその中から結晶のようなものを摘出していったのであった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)