搏撃はくげき)” の例文
また組んずぐれつの肉闘にくとうや、一団の武者と一団の武者との陣列的じんれつてき搏撃はくげきなど、いまやここの終局は悽愴せいそうきわまる屍山血河しざんけつがを描いていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてその煽りが鋭く私の心臓を搏撃はくげきしたやうに感じられた。太陽のなかへ落下する愉快な眩暈に、私は酔ふことを好んだ。
刃とやいば——とよりも、むしろそれは、気と気、心と心の張りあい、そして、搏撃はくげきであった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
鎌倉の新府には今、その骨太い性格の持主ばかりが、何万となくひとつに住んで、事ごとに搏撃はくげきしあっていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はたからはうかがい知れない血液と血液とが搏撃はくげきする。利害にかかわらず共倒れも怖れないところまで行く。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)