插話そうわ)” の例文
新字:挿話
荒血をこぼしたもうによって荒血山とはいうとある。『義経記』全篇の筋とは直接の交渉なき插話そうわだから、作者の新案とは考えられぬ。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
拷問の後にほうり込まれた牢獄ろうごくの中で眼前に迫る生死の境に臨んでいながらばかげた油虫の競走をやらせたりするのでも決してむだな插話そうわでなくて
映画雑感(Ⅳ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
相手が相手だけにちょっと微笑ほほえましいものにも思い、苦難の多い庸三との生活の途中における楽しい一つの插話そうわとして、記念のカナリヤを眺めていたのだったが、逃げられてみると
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そして葉子は木村を通して自分の過去のすべてに血のしたたる復讐ふくしゅうをあえてしようとするのだった。そんな場合に、葉子はよくどこかでうろ覚えにしたクレオパトラの插話そうわを思い出していた。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
残酷な插話そうわ
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
あるいは古典の中のある插話そうわで結ばれているか、あるいはまた、潜在意識の暗やみの中でつながっているかによって取り合わせの結果は全く別なものとなる。
俳諧の本質的概論 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)