拔刄ぬきみ)” の例文
松井小八郎は全く良い男でした、平次と八五郎の思惑がわかると、深くとがめる樣子もなく、カラカラと笑つて、拔刄ぬきみを投出すのです。
八五郎が持つて來たのは、紺糸こんいと柄卷つかまきをした、手頃の脇差が一とふり。血だらけの拔刄ぬきみのまゝで、その血がにかはのやうにねばり附いてゐるのも無氣味です。
「小判と見せかけたすゞの破片の財布。これは曲者のぢやねえ、此方の品だ。外に拔刄ぬきみが一本、あまり長くはない。脇差だが、相州物で、なか/\のワザ物らしいよ」