ほお)” の例文
堀の底にも泥まみれになった人が五六人居り、小桶で泥水を足場の方にかきよせていたが、おりおり鰻や鯰を揃えては岸にほおりあげていた。
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
と隅にある座蒲団に手を掛けて、ほおっておけばそこに二人分のしとねでも設けそうなたたずまいであった。
逗子物語 (新字新仮名) / 橘外男(著)
彼が火箸をくさむらの中にほおったとき、銃砲の音で一人の作男がそこへ寄って来た。
熊の出る開墾地 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
私は、用事一切をほおりだして館林へかけつけたのである。
食指談 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)