手雪洞てぼんぼり)” の例文
手雪洞てぼんぼりをかざした近習の安田伊織という若者、なんの気もなくお次部屋へ入って、しきりにうなされている寝所のふすまをことさら忍びやかにあけてにじり進むと
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とたんに、かれの白足袋たびが、そばに置いた手雪洞てぼんぼりを踏みつけ、一道のかげが天井へれたかと思うと
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まっ白な練絹ねりぎぬ寝衣ねまきをきた重喜の相貌が、手雪洞てぼんぼりのかげに別人のようにすごくみえたので、伊織がヒヤリとして腰をうかしかけると、重喜の目がジイとすわって、彼をそこへ居すくませた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)