手杵てぎね)” の例文
洗い清めた白米を或る時間水に浸し、それが柔かくなったのを見測みはからって小さな臼に入れて、手杵てぎねすなわちたての杵でき砕くのである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その臼はすべて手杵てぎねであった(碾磑てんがいの輸入はかなり古いけれども、その用途は薬品香料のごとき、微細なものに限られていたようである)
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
女性が日本の手杵てぎねで穀粉をはたいている間は、いかに糯米が糊分のりぶんの多い穀物であろうとも、是をきつぶして今のような餅にすることはできない。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
土臼で籾を摺った時代にもたくさんのエリゴができたが、以前の手杵てぎねで搗いた時代はなおさらであったろう。
食料名彙 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
気仙の村々に今も用いらるる手杵てぎねの功用を尋ねてみた。すなわち上下に頭のあるまっすぐな杵のことで、われわれがわかりやすいために、平素兎の杵などと名づけているところのものである。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)