手拭地てぬぐいじ)” の例文
汚い手拭地てぬぐいじ浴衣ゆかたを着た九つか十位の男の児が、剥製はくせいの蛙みたいにひょろひょろになって、つつじの株の葉陰にうずくまっていた。
夏の夜の冒険 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
その時分は結城ゆうきずくめのった身なりに芸人らしく見えた事もあったのが、今は帽子もかぶらず、洗ざらした手拭地てぬぐいじ浴衣ゆかた兵児帯へこおびをしめ素足に安下駄をはいた様子。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
真直まっすぐ往来おうらいの両側には、意気な格子戸こうしど板塀いたべいつづき、すりがらすの軒燈けんとうさてはまた霜よけした松の枝越し、二階の欄干てすり黄八丈きはちじょう手拭地てぬぐいじ浴衣ゆかたをかさねた褞袍どてらを干した家もある。
深川の唄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)