房子ふさこ)” の例文
房子ふさこかい?——私は今夜東京へ行くからね、——ああ、向うへ泊って来る。——帰れないか?——とても汽車にに合うまい。——じゃ頼むよ。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
女教 はい房子ふさこさん、出来たんですね。どういう式を立てたか、そこで読みあげてごらんなさい。
新学期行進曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
壁際かべぎわ籐椅子とういすった房子ふさこは、膝の三毛猫みけねこをさすりながら、その窓の外の夾竹桃へ、物憂ものうそうな視線を遊ばせていた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
陳彩ちんさいは部屋の隅にたたずんだまま、寝台の前に伏しかさなった、二人の姿を眺めていた。その一人は房子ふさこであった。——と云うよりもむしろさっきまでは、房子だった「物」であった。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)