愍然かわいそう)” の例文
一体は亀屋の亭主に御前の身の上あらましききて、失礼ながら愍然かわいそうな事や、わたしが神か仏ならば、こうもしてあげたいああもしてやりたいと思いましたが、それも出来ねばせめては心計こころばかり
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
私はお前の根性が愍然かわいそうでならねえ。私がよく言って聞かせるのは、ここだぞよ。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
其の心が虫よりも小せえからおら愍然かわいそうでなんねえから意見を云うだ、えゝか、そんなに急いで獄門になりたがらねえで、旦那様が二十両下さればさいわえだアから、頭でも剃落すっこかして出家になるか
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
この児はこういう訳のものだから愍然かわいそうだと思ってくれる人だって有りゃあしない。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
愍然かわいそうだと思うからわりい事は止めろや、これ堅気に成れや、大騒ぎやって首を投げ出して取った所が高が八十両べえの小さな金、旦那様のように一に二万も三万も儲ける事を御存じの人に比べれば
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)