悲叫ひきょう)” の例文
飛び廻る自動車も、忙しそうに歩く行人も、右往左往に悲叫ひきょう遁走とんそうする、あらゆる生物の、混乱の姿ででもあるかのように取られた。
火と氷のシャスタ山 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
悲叫ひきょうとともに、お妙は自害じがいして散ったのだった。壁辰は娘の介抱かいほうもしたいが、刻は移る。そうしてはいられない。待っていた音松も、なみだをかくしてき立てる。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
その男はしわがれた声で、家中に響き渡るように、悲叫ひきょうを上げた。
同時に、髪をつかんでお藤を引き起こすと、痛さにあまったお藤は左膳をあおいで悲叫ひきょうした。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)