とん)” の例文
然るに学者は世界の知識を独り背負しよつて立つたやうな気になつて、とんと巡査が人民に説諭すると同じ口吻くちぶりを以て無学者に臨んでゐる。此位暴慢無礼な沙汰はない。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
乳も碌に飲まない中に母犬おふくろには別れ、宿なしの親なしで随分苦労もしたが、今の旦那には勿躰ないほどお世話になつて、とんと応挙の描いた狗児ちんころのやうだと仰しやつて大変可愛がられたもんだ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)