ぎょっ)” の例文
と、その声にぎょっとして振返る京太郎、そこに平野氏の姿を見るや、恐ろしい声で何やら喚きながら、きびすを返して逃出そうとした。——同時に
天狗岩の殺人魔 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「……香苗ではないか」突然そう呼びかけられて、ぎょっとしながら立止ると兄の勘一郎が近寄って来た、「いま戻ったのか」
城中の霜 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
寝台ベッドよこたわったまま、枕卓子サイド・テーブルの上の洋灯ランプの光で雑誌を読んでいた桂子はぎょっとしながら頭をもたげた。
廃灯台の怪鳥 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
なにがいけないんだ、どこにこんな扱いを受ける理由があるんだ、いったい、然し主馬はぎょっとして振返った。彼はまだ襖の前に立っていたが、部屋の中でなにか物音がするのを聞いたのである。
山椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
云われてぎょっとしながら見やった、——霧笛がいつか絶えている。
流血船西へ行く (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
苅田はぎょっとしながらチョッキの胸を押えた。
海浜荘の殺人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ぎょっとして眼をみはる正吉
お美津簪 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)