怡悦いえつ)” の例文
嗚呼、初め我が人をして聳聽そうちやうせしむべく、怡悦いえつせしむべき句ぞとおもひしものは、今は人々の一顧にだに價せざらんとす。
虎すなわち大いに怒り、懺悔もしおわればすなわち怡悦いえつす〉、同書一に明感という尼、虜賊に獲られ辱を受けず牧羊に使われ、苦役十年、一比丘にうて五戒を授かり
自然が閉じたる魂には拒み、開いたる魂にはささげ与え惜しまない、あの無数の怡悦いえつを考えつつ、英知の上の長者たる彼は、金銭の上の長者たる人々をあわれむようになる。
山岳の秀美や荘厳を受取って吾が心霊の怡悦いえつと満足とを覚える場合はおのずから二つある。
穂高岳 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
われはポツジヨと少女をとめに誘はれて、海にのぞめる小家に入りぬ。酒はうまし。友は善く談ぜり。誰かポツジヨが軽快なる辯と怡悦いえつの色とを見て、その厭世の客たるを知り得ん。
滿足怡悦いえつの情を湛ふるに相違無い。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
甚だ人に怡悦いえつの情を味はしめた。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)