心酔しんすい)” の例文
ただそこに孔子という人間が存在するというだけで充分じゅうぶんなのだ。少くとも子路には、そう思えた。彼はすっかり心酔しんすいしてしまった。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
そして、あなたは、あの人を犯罪手段の研究に熱中させ、架空犯人のトリックに心酔しんすいさせてしまった。
断崖 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
アマンドさんは非常な日本びいきで、趣味というよりは心酔しんすいというのに近いふうだった。
キャラコさん:05 鴎 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
一時は彼に心酔しんすいしたことさえある。それを少しも思い出さないなんて、ひょっとしたら、これは「盲点」だぞ。明智の好きな「盲点」にひっかかっているのかも知れないぞ
月と手袋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そんなことは、聞かなくってもわかっています。あなたの日本心酔しんすいは並大抵じゃないんだから。……しかし、それは、あなたの趣味だけのことでしょう。ともかく、そんなことのために、不幸な人間を
キャラコさん:05 鴎 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)