御覚おんおぼ)” の例文
旧字:御覺
婦人はやがて妾に向かいて、あなた様には御覚おんおぼえなきか知らねど、私はかつて一日とてもあなた様を思い忘れしことなし。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
片岡中将としいえば、当時予備にこそおれ、驍名ぎょうめい天下に隠れなく、かしこきあたりの御覚おんおぼえもいとめでたく、度量濶大かつだいにして、誠に国家の干城と言いつべき将軍なり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
あけてもくれてもひじさすきもを焦がし、うえては敵の肉にくらい、渇しては敵の血を飲まんとするまで修羅しゅらちまた阿修羅あしゅらとなって働けば、功名トつあらわれ二ツあらわれて総督の御覚おんおぼえめでたく追々おいおいの出世
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)