御経おんきやう)” の例文
旧字:御經
父君は、家の内に道場を構へて居たが、簾越しにも聴もんは許されなかつた。御経おんきやうもんは手写しても、固より意趣は訣らなかつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
されば馬太またい御経おんきやうにもしるいた如く「心の貧しいものは仕合せぢや。一定いちぢやう天国はその人のものとならうずる。」
きりしとほろ上人伝 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
油火あぶらびのかすかな光の下で、御経おんきやう読誦どくじゆし奉つて居つたが、たちまちえならぬ香風が吹き渡つて、雪にもまがはうず桜の花が紛々とひるがへいだいたと思へば、いづくよりともなく一人の傾城けいせい
きりしとほろ上人伝 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「ごへんは御経おんきやうの文句を心得られたか。」
きりしとほろ上人伝 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)