御着ごちゃく)” の例文
官兵衛は、師のことばへ、耳を向けただけで、御着ごちゃくの方をふりかえっていた。彼に似気にげなく、何かただならない顔色を現わしている。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「よく分りました。お帰国の日までは、われら石垣にしがみついても、御着ごちゃくのお城を毛利方へ傾けさすようなことはございませぬ」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なぜならば、従来の関係上、この姫路の内にも、御着ごちゃくの小寺家から付人つけびととして来ている外籍がいせきの家臣も多く交じっていたからである。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さきに伯耆ほうき船上山せんじょうせんを立たれた帝の瑶輿ようよ(こし)は日をかさねて、二十七日、播磨はりま書写山しょしゃさんまで御着ごちゃく
「しかし、院宣の御使みつかいが、はたしてこれへ御着ごちゃくあるやいなや、そちのはなしでは、ちと心もとなく案じられる。——讃岐さぬきがよいの干魚船に潜んで海へ出られたということだが」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おそくも、今日明日には、院ノ庄へ行き着くはず。——先へ家来を走らせて、御着ごちゃくの上は、ゆるゆるお休みを賜るようにしてありまする。何はあれ、院ノ庄までのご辛抱にござりますれば」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御着ごちゃく。お待ち申しあげておりました」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宰相さいしょう御着ごちゃくとある」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)