御所車ごしょぐるま)” の例文
春雨はるさめ御所車ごしょぐるま、さては、かっぽれ、と申しますような唄や、そうしたものの踊りの師匠だったのでございます。
両面競牡丹 (新字新仮名) / 酒井嘉七(著)
こんなせまっくるしい竹藪たけやぶん中で遊んだって、ちっとも面白かねえや! 都へ行きゃ、綺麗きれい御所車ごしょぐるまが一杯通ってるんだぞ! 偉い人はみんな車に乗って御殿に行くんだ! 綺麗きれいな着物を着て
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
眼をかえすと、狛犬こまいぬだの、御所車ごしょぐるまだの、百度石だの、燈籠だの、六地蔵だの、そうしたもののいろいろ並んだかげに、水行場すいぎょうばのつづきの、白い障子を閉めた建物の横に葡萄棚が危く傾いている。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
昨日きのう小田原から戻った人の話に、天狗てんぐのように鼻の高い異人が、御所車ごしょぐるまのような車に乗って、空をふうわりふうわりと東から西に向って通っていたと云いますが、それもやはり伴天連でしょう」
切支丹転び (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)