御寮ごりょう)” の例文
いや困った小浪こなみ御寮ごりょうだ。小浪といえば、ねエお豊、ちっと気晴らしに京都にでも行って見んか。そらアおもしろいぞ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
けれども、寺田屋には、御寮ごりょうはん、笑うてはる場合やおへんどっせと口軽なおとみという女中もいた。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
何んでも人力車じんりきしゃ書生しょせいをつけてよこして、花嫁御寮ごりょうを乗せて、さっさとれて行ったりしては、お袋さんも娘の出世はよろこんでも、愚痴の一つもいいたくなって
そして二種類にけて積んでいったが、その一方を例の鞄の中へていねいに入れ始めた。長襦袢ながじゅばんもあるし、錦紗きんしゃもあるし、おめしもあり、丸帯もあり、まるで花嫁御寮ごりょうの旅行鞄みたいであった。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そしてその自己は豹一につらなる自己であった。豹ぼんが可哀そうだと思いませんか御寮ごりょうさんが余りお人善しやからですと森田にいわれて、はっと眼が覚める想いだった。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)