御坐おは)” の例文
月すめば谷にぞ雲は沈むめる、嶺吹き払ふ風に敷かれてたゞ御※おんむねの月あかからんには、浮き雲いかに厚う鎖すとも氷輪無為のそらの半に懸り御坐おはして
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
御怨恨おんうらみかへし玉ふべからむ、御忿恚おんいきどほりも晴らさせ玉ふべからん、さて其暁は如何にして御坐おはさんとか思す、一旦出離の道には入らせたまひたれど断縛の劒を手にし玉はず
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
生みの子の愛に迷ひ入りたる頑凶かたくな老婆ばゞに責められて朝夕を経る胸の中、父上御坐おはさば母在らばと、親を慕ひて血を絞る涙に暮るゝ時もあるてい、親の心の迷はずてやは
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)