後顧うしろぐら)” の例文
予も何となく後顧うしろぐらき心地して、人もや見んとあやぶみつつ今一息と踏張ふんばる機会に、提灯の火を揺消ゆりけしたり。黒白こくびゃくも分かぬ闇夜となりぬ。予は茫然として自失したりき。時に遠く一点の火光あかりを認めつ。
黒壁 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)