後堂こうどう)” の例文
すると、後堂こうどうのほの暗い片隅に、一夫人がその娘らしい者を抱いてすくんでいた。紅の光が眼をかすめた。珠や金釵きんさいが泣きふるえているのである。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたくしはかつて婦女を後堂こうどうたくわえていたころ、絶えずこの事を考えていた。今日にあっても、たまたま蘭燈らんとうの影暗きところに身を置くような時には、やはりこの事を考える。
西瓜 (新字新仮名) / 永井荷風(著)