彼方そなた)” の例文
生憎あいにく其方そなたよろめける酔客すいかくよわごしあたり一衝撞ひとあてあてたりければ、彼は郤含はずみを打つて二間も彼方そなた撥飛はねとばさるるとひとしく、大地に横面擦よこづらすつてたふれたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
妻と来て、お許に来て、今日けふくつろぐと、子らもゐて。茶寮にはのはひり、石いくつ水うつあひだ、彼方そなた見て、もの言ひてます物ごしのあはれ、よくぞ似る妻が母刀自、子らにもけだし。
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)