“当麻（たいま）” の例文
旧字：當麻
そのせいか汽車から見える当麻（たいま）の山の濃く茂った嵂※（りつしゅつ）とした姿が、ひどく陰欝に、少しは恐ろしくさえ見えた。
古寺巡礼 (新字新仮名) ／ 和辻哲郎(著)
その折は、あなた様も、われら同様な山伏姿にお身なりを変えて、次の日、当麻（たいま）越えより高市（たけち）の方へ、ただお一人で、忍びやかに、お立ち出ででございましたが
私本太平記：02 婆娑羅帖 (新字新仮名) ／ 吉川英治(著)
東は桜井より初瀬にいたる街道、南は岡寺、高取、吉野等への道すじ、西は高田より竹の内、当麻（たいま）への街道、北は田原本（たわらもと）より奈良郡山（こおりやま）へ、四方十字の要路で、町の真中に札の辻がある。
大菩薩峠：03 壬生と島原の巻 (新字新仮名) ／ 中里介山(著)
扨あくる日は岡野の宿を経（へ）、当麻（たいま）の寺の鐘のこえを聞いて
聞書抄：第二盲目物語 (新字新仮名) ／ 谷崎潤一郎(著)
武内宿彌（たけのうちのすくね）と当麻（たいま）のくえはやとの勝負に近いものだ。
大力物語 (新字新仮名) ／ 菊池寛(著)
〽あれは当麻（たいま）の
寄席行灯 (新字新仮名) ／ 正岡容(著)
彼と別れた元成と卯木は、当麻（たいま）越えに出て、翌る日からは、河内へ入った。
私本太平記：03 みなかみ帖 (新字新仮名) ／ 吉川英治(著)