当今いま)” の例文
旧字:當今
その当時の牛込余丁町のお住居は、当今いまのお家のずっと後の方で現今いま小道路こみちになっているあたりに門があった。
古い暦:私と坪内先生 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「へへへへへ、華族で、金があれば、ばかでも嫁に行く、金がなけりゃどんなに慕ってもつばきもひッかけん、ね、これが当今いま姫御前ひめごぜです。へへへへ、浪子さんなンざそんな事はないですがね」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「あたくし、一生懸命になります。当今いまどんな方たちが、女で、小説をお書きになってらっしゃいます。」
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
当今いまこそ彼女に物質の憂いはないが、かなり売出しのころには悲惨をめたのであった。
豊竹呂昇 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
そのころの劇場は、当今いまの一階椅子席——一等席から二等席の方へかけて、ずっと細長く、竪に半間はばよりすこしゆるめに、長い長い溝になっていて、畳がずっと敷きつめてある。