引絡ひっから)” の例文
尻を引絡ひっからげて川へ入り込もうとするから、人足どもがバラバラと駈けて来て米友を囲んでしまい、その手を持ってギュウギュウ引き立て
その人と姉との間に起ったこんな交渉のなかに引絡ひっからまっている古い自分の影法師は、彼に取って可笑おかしいというよりもむしろ悲しいものであった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
うむ、構うもんか、いまの石段なんぞ、ちらちら引絡ひっからまって歩行悪あるきにくそうだった。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
事がこんな風に引絡ひっからまった日には、とてもあによめを連れて和歌山などへ行く気になれない、行ったところで肝心かんじんの用は弁じない、どうか母の思い通りに事が変じてくれれば好いがと思った。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)