廻漕かいそう)” の例文
「よろしいか、兵粮米ひょうろうまい廻漕かいそうしてまいりますぞ、兵粮米をはじめ、くさぐさの雑貨なども求めてまいりますぞ、よいか、よろしいか——」
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
二三日前、入港した第二海竜丸が、上方から山羊を廻漕かいそうしてきたのである。
南方郵信 (新字新仮名) / 中村地平(著)
上方米を廻漕かいそうし、やがて、長崎屋と一戦を、開始することにもなろうと言うことを、ハッキリと聴いたので、一種、異様な満足を覚え、なおもとくと、この大商人の有頂天うちょうてんなありさまを見聞し
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
海に面した大丁浜には廻漕かいそう倉庫が並んでいる。
だから彼は、和船の廻漕かいそう問屋を恨み、函館廻送に托した食糧その他にわがことのような責任を感じたのだ。しびれをきらして調査に出かけた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
阿賀妻は、開拓使附属船であるこの庚午丸の廻漕かいそうが決定し、その日取りを通知してやった後の何日かは、文字通り、おちおち睡ることも出来なかったのだ。予定は次々にくずれた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)