度忘どわす)” の例文
自分では度忘どわすれしてゐたことを云はれでもしたやうにびつくりし、打たれ、感慨深げに、「ふうむ、さうだ!」と答へ、それでも足りないで
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
「それはそうに違いないが、どうも見たことのたしかにある娘だが、度忘どわすれをしてしまったよ、思い出せないよ」
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「ところが、あの空地の持主の飯村いいむらという人の家は、どこか、この近所にあったはずだが、どこだったかなあ。だいぶん以前のことで、度忘どわすれしてしまったぞ」
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「いや、閉口。すっかり度忘どわすれをしてしまって……」と、庄太はあたまを掻いた。「うちへ帰ってから思い出しましたよ。鳥亀、鳥亀……。いつか一度、親分を案内して行ったことがありましたよ」
半七捕物帳:51 大森の鶏 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)