平野水ひらのすい)” の例文
お兼さんは黒い盆の上にせた平野水ひらのすい洋盃コップを自分の前に置いて、「いかがでございますか」と聞いた。自分は「ありがとう」と答えて、盆を引き寄せようとした。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
よく世間では稀塩酸でレモナードを作る人がありますがあれは毒だからおしなさい。枸櫞酸のでも毎日多量に飲むと痩せます。平野水ひらのすい曹達水そうだすいは毎日連飲すると腸を害します。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
大麓氏は大臣らしい物の言ひ方をしようと思つてぎさしの平野水ひらのすいを一杯ぐつと飲んだ。
昔のはかりごとを繰り返す勇気のなかった余は、口中こうちゅううるおすための氷を歯でくだいては、正直に残らず吐き出した。その代り日に数回平野水ひらのすいを一口ずつ飲まして貰う事にした。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)