干魚ひもの)” の例文
はげしく手真似をして叫びかはす群が忽ちドルフの周囲まはりへ寄つて来た。中に干魚ひもののやうな皺の寄つた爺いさんがゐて、ドルフの肩に手を置いた。
わたしは(ああこれだな、時折舞台が御殿のような場で楽屋の方から干魚ひものにおいがして来て、現実暴露というほどでもないが興味をさまさせるのは——)
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
干魚ひものが大変便利でうまいそうですから送ってやります。ではこれで。益〻お大切に。
その朝のお使いは、港橋河岸の乾物屋からクサヤの干魚ひものを買って来ることだった。
お前さまが此方こっちへ越してから荒物屋を始めたが、酒でも干物でもやすいんでおお評判だよ、調法だってよ、仕入が皆江戸もんを買って来るだからいでや、此間こねえだ干魚ひものなざア大層てえそううまかったが
御馳走ごちそうの充分なのに干魚ひものがなければ食べられないといって次の間で焼かせたりした。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)