幕舎とばり)” の例文
が、そこへ兵糧の朝餉あさげが運ばれて来たのをしおに、正成はそれ幸いに、さいごの貧しい野戦食を正行と向いあってりながら、幕舎とばりの外へ命じていた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じつは心がかりのまま、昨夜、み幕舎とばりの外にいて、委細は伺うておりました。……よほど私からも、共々お願いを
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遠方此方おちこち幕舎とばりで、はや、将士の起き出る気配がする。正行は、どこかで顔を洗ってもどって来た。深くは眠れずに過ごしたのだろう。今朝もまた、瞼は赤くれあがっている。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)