常陸国ひたちのくに)” の例文
それは二十六日の夜、日本橋住吉ちょうの往来で、常陸国ひたちのくに中志築村の太田六助が父のかたき山田金兵衛を討ち取った一件である。
半七捕物帳:61 吉良の脇指 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
磐城いわきの夏井川や鮫川。常陸国ひたちのくにの久慈川に、那珂川などへ、早春の三月中旬頃、すでに河口めがけてさかのぼってくるのである。利根川も、同じことであった。
鱒の卵 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
聖人常陸国ひたちのくににして、専修念仏の義をひろめたまふに、おほよそ疑謗の輩はすくなく、信順の族はおほし。
加波山 (新字新仮名) / 服部之総(著)
若党の一人ひとりは岩崎駒五郎こまごろうという弘前のもので、今一人は中条勝次郎ちゅうじょうかつじろうという常陸国ひたちのくに土浦つちうらのものである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
こう聞いて、甚助はむなしく、常陸国ひたちのくにへ志した。
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
常陸国ひたちのくにの歌という左注が附いている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
この仇討は十一月の二十八日、常陸国ひたちのくに上根本村の百姓、幸七の妹おたかというのが叔父の助太刀で、兄のかたき与右衛門を天王橋で仕留めた一件です。
半七捕物帳:61 吉良の脇指 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
常陸国ひたちのくに真壁まかべの代官小島武弘たけひろの耳へも入った。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)