帰依者きえしゃ)” の例文
大町の如道にょどうとか、和田の親性しんしょうとか、松住まつずみ円貞えんていなどという人々も、善信と知りあう機縁を得て、みな旧教をすてて念仏門の帰依者きえしゃになった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これは玄内は大師の帰依者きえしゃだが、海真寺の住職は戒律を保たず、堕落僭上だらくせんじょうの沙汰があるので、尊い本尊を預けておけないからだ〉と書いてある
あっちこち聞きあわせると、あの尼様はこの四五日しごんち前から方々の帰依者きえしゃとこをずっと廻って、一々
清心庵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼はついに聖フランシスの帰依者きえしゃとなり、ローマ・カトリックの僧位をて始めて生活の安らかさを確保したのである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
前関白月輪さきのかんぱくつきのわ公が、まず第一に指を折られる。次に、大炊御門おおいみかど左大臣、花山院兼雅かざんいんかねまさ、野々宮左大臣、兵部卿基親ひょうぶきょうもとちかなど、殿上てんじょう帰依者きえしゃだけをかぞえても、十指に余る。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それが十年以上もつづいているので、佐賀忠とよぶここの主人も、彼の帰依者きえしゃのひとりとなって、大施粥の行事には、便宜と、喜捨きしゃと、あらゆる援助を与えていた。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下野しもつけの城主大内国時くにときの一族をはじめ、久下田太郎くげたのたろう秀国、真壁の郡司や相馬そうまの城主高貞たかさだなど——そういった歴々の帰依者きえしゃも、きょうはすでに家臣をひきいて、本堂の左右にいながれ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)