川靄かわもや)” の例文
晴れた日ほど、大河の水面から昇るうすい川靄かわもやがぎらぎら光って、遠目ではよく見極められないが、どうかすると、城工事の掛声や石を切る音などが、対岸から風にのって聞えてくる日もある。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まだ川靄かわもやもほの白いうちに、しきりと、鴻雁こうがんが遠くで群れ立ち、やがて鑼声らせい鼓笛こてきの音と共に、櫓手ろしゅの船歌が聞えだしていた。近づくのをみれば、花やかな三隻の官船である。特に、勅使船のみよしには
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
風はなく——けさは白い川靄かわもやさえ、たちのぼっていた。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)